2008年11月10日月曜日

ナカミチのアナログデッキ。TD1200SE





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耳触りの良い イイ音楽は原始的な回路をバイパスした
純度の高いアナログがらきこえてくるモノなのかも知れない。

ナカミチモービルサウンドシステムで

1990年代に当時発売されたカセットデッキが御座いました。
販売金額はデッキ1個でなんと308,000円
とずば抜けて当時でもなかなか手の届かない高値の華でした。
どうせなら飛びっきりのイイ音で思う存分にサウンドを楽しみたい。
当時の憧れはこのNAKAMICHIのカセットデッキTD-1200-SE を
正しく作動させるに必要最小限度の機材と材料を車輌に装着させました。

増幅器メインアンプが1個とフロントドアへインストレーションさせる
前方定位の2ウエイスピーカーシステムが1セットのみ
全ての基本はそこからスタートしました。
スピーカーシステムとアンプを繋ぐシンプルな配線方法でしたが
配線関係は太く短く純度の高い素材で丁寧にワイヤリングされました。
その導き出される音質のクオリティーは
まるで心霊現象に近いくらいの気配とその場の臨場感さえも感じさせてくれたモノです。

気配のある音楽とは何か?
実はスピーカーを介して機械的に流れてくる再生音質には1つの限界が御座いました。
それは再生ロスと呼ばれる1種のエネルギー損失だったのです。
原音を100%と計算すると
再生させるだけでも数多くの機材の中をエネルギーが通過していきます。
発熱もあれば運動エネルギーの換算率も含めて
作動ロスがスルーの0%という訳には行きませんでした。

そこで考えられたのが録音時の音圧レベルを130%相当に増幅させてから
機材での再生ロスを最小限に抑える代理変換システムの採用方法でした。
この録音は同社から発売されていたホームオーディオ「ドラゴン」によって完成され、
社外の機材製品では実現が難しかったようにさえ記憶しています。
録音側と再生側の両方を管理していた珍しい音響メーカーでした。

人の気配が両サイドに装着された車輌側スピーカーから滲み出てくるのです。
音の定位も手伝ってスピーカー本体から決して音は出ているようには
聞き手には一切感じさせないのです。
スピーカーとスピーカーの丁度合わさる位置、
センターコンソール中央の真ん中あたりから
人の生に近いボーカル域が自然と湧き出てくるのです。
唾を飲み込むような喉越しを通過する小さなラップ雑音や、
息の呼吸音、髪の毛の動き、
奏者が楽器を持ち替えるときに発生させる指と指の作動音の
不気味なまでに伝わる空間の余韻。
これらの小さなサウンドエフェクト音さえもクルマの
中から聞こえてきていたのですから驚きです。

アナログの原点と呼ばれる肝心のカセットテープ自体10年程前くらいから
徐々に街の電気屋さんや音楽関係のお店等 市場からその姿が順次静かに消えて行きました。
やがてカセットテープから録音可能なCDへと時代は移り変わり、
ナカミチイコールカセットテープというイメージの方程式もいつのまにか消えていました。

このナカミチはオートリバース自動再生機構付きのマシンでした。
これ以外のカセットデッキは原始的ですが全て一方通行ワンウエイだったのです。
A面が終了したらそれで終わりだったのです。
面倒ですが一旦デッキからカセットを取り出し
ひっくり返さなければいけなかったのです。
このTD1200SEはNAACが搭載されていました。
「ナカミチ オート アジマス コントロール」
テープとヘッドの微妙な推進角を自動調整してくれる
なんとも便利なセンサーがヘッド側に内蔵されていたのです。
至り尽くせりの当時の最新機能も今の時代となってはとても懐かしい機能に思えて来ます。
幻という言葉がそのまま純粋に当てはまる
今は懐かしきナカミチのカセットテープ物語でした。




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